第2回研究会開催報告

2013年5月19日(日)・20日(月)に,大阪大学シグマホールにて第2回WI2研究会を開催致しました.一般発表は,ロング発表・ショート発表合わせて19件の発表がありました.

内容は,情報推薦・情報検索,ユーザインタフェース,分析と評価,コミック工学,言語と動作モデルなどでした.また,特別企画(招待講演)においては,滋賀県立大学の細馬宏通先生に「漫才のボケに対するツッコミ動作の時間構造」という題目でご講演いただきました.参加者数は101人でした.懇親会は,ネパールキッチン Kathmanduにて本場のネパール料理をいただきました.

→プログラム →特別講演 →表彰 →副座長報告 →学生参加報告 →運営委員会

日時・会場

日時: 2013年5月19日(日)10:15~17:40
2013年5月20日(月)10:00~15:40
会場: 大阪大学 豊中キャンパス基礎工学部シグマホール<関内>
〒560-8531 大阪府豊中市待兼山町 1-3
http://yokohhttp://www.es.osaka-u.ac.jp/jp/access.htmlmalab.jp/howtouse

アルバム


一般発表の様子です

一般発表の様子です

一般発表の様子です

質疑応答の様子です

受付の様子です

イベントの電子掲示板です

細馬宏通氏の招待講演です

一般発表の様子です

懇親会の会場です

懇親会の様子です

懇親会の様子です

こんなナンが出ました

表彰式の様子です

萌芽研究賞の表彰です

萌芽研究賞の表彰です

学生奨励賞の表彰です

プログラム

■5月19日(日)(9:30~受付)
10:15-10:30 開会の挨拶
10:30-11:50 セッション1:情報推薦と情報検索(1)
座長:北山 大輔(工学院大学),副座長:高間 康史(首都大学東京)
(ロング発表)
1.カテゴリにおける所属度と非典型度に基づく希少なWebページの推薦
  多田亮平,湯本高行,新居学,佐藤邦弘(兵庫県立大学)
2.位置情報付きツイート対応付けに基づく観光スポット推薦システムの開発
  奥健太,橋本拓也,上野弘毅,服部文夫(立命館大学)
(ショート発表)
3.ついでタスク推薦のためのコンピュータ作業のクラスタリングに関する一検討
  藤本拓,伊藤雄一,土方嘉徳,尾上孝雄(大阪大学)
11:50-13:00 昼休憩
13:00-14:00 招待講演
司会:杉原 太郎(岡山大学)
4.「漫才のボケに対するツッコミ動作の時間構造」
  細馬宏通(滋賀県立大学)
14:00-14:20 休憩
14:20-16:00 セッション2:情報推薦と情報検索(2)
座長:湯本 高行(兵庫県立大学),副座長:奥 健太(立命館大学)
(ロング発表)
5.推薦関係グラフのパターン抽出に基づく商品間の関係判定手法
  北山大輔(工学院大学),角谷和俊(兵庫県立大学)
6.属性の組み合わせとその相性に基づく複合オブジェクト検索
  佃洸摂,大島裕明(京都大学),山本光穂,
  近藤賢志(株式会社デンソーアイティーラボラトリ),
  田中克己(京都大学)
(ショート発表)
7.オンラインショッピングのための使用状況の多様性を考慮した商品推薦
  財前元希(兵庫県立大学),北山大輔(工学院大学),角谷和俊(兵庫県立大学)
8.料理名のネーミングコンセプト抽出によるレシピ推薦システム
  橘明穂,若宮翔子(兵庫県立大学),難波英嗣(広島市立大学),
  角谷和俊(兵庫県立大学)
16:00-16:20 休憩
16:20-17:40 セッション3:ユーザインタフェース
座長:齋藤 ひとみ(愛知教育大学),副座長:山本 岳洋(京都大学)
(ロング発表)
9.Nグラムモデルを用いた数式の予測入力インタフェースの開発
  土方嘉徳,堀江圭介,西田正吾(大阪大学)
10.XMLスキーマを利用したWebユーザインターフェイス自動生成手法の提案
  榎本俊文,鈴木源吾,小林伸幸,星野隆(NTTソフトウェアイノベーションセンタ)
(ショート発表)
11.e-commerce向け商品絞り込みインタフェースに関する基礎検討
  早川卓弥,土方嘉徳,西田正吾(大阪大学)
18:40-20:40 懇親会
■5月20日(月) (9:40~受付)
10:00-11:40 セッション4:分析と評価
座長:難波 英嗣(広島市立大学),副座長:井口 誠(Kii 株式会社)
(ロング発表)
12.機能の特異性を考慮したサービスインデクシング手法と実装評価
  片岡泰之,渡部智樹,田中清,東野豪(NTTサービスエボリューション研究所)
13.Gozen:プレゼン用「ビジュアル・エイド」のあるべき姿
  大坪五郎(株式会社ネクスト)
(ショート発表)
14.ツイートの感情抽出の為の顔文字の役割分類
  若井祐樹(甲南大学),熊本忠彦(千葉工業大学),灘本明代(甲南大学)
15.参加者の議論能力と役割を考慮したオンライン議論の分析
  朱成敏(総合研究大学院大学),武田英明(国立情報学研究所)
11:40-13:00 昼休憩
13:00-14:10 セッション5:コミック工学
座長:熊本 忠彦(千葉工業大学),副座長:鍜治 伸裕(東京大学)
(ロング発表)
16.コミック工学の可能性
  松下光範(関西大学)
(ショート発表)
17.「コマ」への情報付与による電子コミックの感性共有手法の検討
  山西良典(立命館大学),杉原健一郎,井上林太郎,松下光範(関西大学)
18.コミックデータ内関係抽出のためのデータフォーマットの提案
  水戸拓実,白井涼子,波多野賢治(同志社大学),松下光範(関西大学)
14:10-14:30 休憩
14:30-15:20 セッション6:言語と動作モデル
座長:加藤 文彦(国立情報学研究所),副座長:大塚 真吾(神奈川工科大学)
(ロング発表)
19.動画中の人の動作を入力情報とする動的計画法を用いた言語生成モデル
  小林瑞季,小林一郎(お茶の水女子大学),Sergio Gudarrama(UC Berkeley),
  麻生英樹(産業技術総合研究所)
(ショート発表)
20.ノリツッコミに着目したWebからのロボット漫才台本自動生成
  真下遼,灘本明代(甲南大学)
15:20-15:40 表彰式・クロージング

特別企画(招待講演):「漫才のボケに対するツッコミ動作の時間構造」

司会: 杉原 太郎(岡山大学)
講演者: 細馬 宏通 氏(滋賀県立大学)
講演概要:

漫才のボケやツッコミの役割は、しばしば言語内容から記述されるが、そこでは身体動作が大きな要因となっていることが予想される。本研究では漫才コンビ「サンドウィッチマン」の漫才とコントを映像記録し、特にツッコミ役が行っている動作を分析した。その結果、ツッコミ役は単に相手のボケの発生後に言語的・身体的なツッコミを行うだけでなく、いったん相手のボケを見過ごす動作を行ったあと、その動作を中断、修正する形をとってツッコミを行う「マイクロノリツッコミ」を伴うことがわかった。また、この見過ごし動作は同じネタでも、漫才とコントでは異なる空間形式をとっており、特定の動作として計画されているのではなく、ツッコミ役がそのときにとっているそれぞれの動作を用いて行われることがわかった。さらに、観客の笑いは、ボケの完了時点だけでなく、マイクロノリツッコミの終了時点と同期しやすいことがわかった。

表彰

WI2研究会では,出席したWI2委員全員により,全ての発表の聴講と評価を行っております.今回,各賞を受賞された研究は以下のようになります.

優秀研究賞
位置情報付きツイート対応付けに基づく観光スポット推薦システムの開発
 奥健太,橋本拓也,上野弘毅,服部文夫(立命館大学)

萌芽研究賞
Gozen:プレゼン用「ビジュアル・エイド」のあるべき姿
 大坪五郎(株式会社ネクスト)
コミック工学の可能性
 松下光範(関西大学)

学生奨励賞
属性の組み合わせとその相性に基づく複合オブジェクト検索
 佃洸摂,大島裕明(京都大学),山本光穂,近藤賢志
 (株式会社デンソーアイティーラボラトリ),田中克己(京都大学)

副座長報告

セッション1:情報推薦と情報検索(1)
 副座長:高間 康史(首都大学東京)
セッション1(発表件数:3)では,情報推薦に関する発表があり,最初の2件がロング発表,最後の1件がショート発表であった.1件目の発表は,あるカテゴリにおいて希少な内容を持つWebページを推薦する手法についてであり,カテゴリと単語の関係に基づき所属度と非典型度を定義し,これらから希少度を求めている.2件目の発表は位置情報付ツイートから観光スポットの時間的特徴を抽出し,推薦に活用する研究であり,情報源として複数のWebサービスを利用し,それらの特徴を生かして融合することで効果的な情報収集・抽出を実現している点が特徴的であった.3件目の発表は,アクティビティの観点ではなくリソースなどの類似性からタスクを関連付け,ついでに実行すると効率的なタスクを推薦する手法についてであった.アイデア段階の部分も多い萌芽的な発表であったが,会場から今後の研究に活用できる建設的な意見が多く寄せられていた.

セッション2:情報推薦と情報検索(2)
 副座長:奥 健太(立命館大学)
セッション2(発表件数:4)では,情報推薦に関する発表が3件,オブジェクト検索に関する発表が1件あった.情報推薦に関する発表としては,Amazonなどにみられる推薦関係を解析することで商品間の関係を推定し,ユーザに商品に対する新たな視点や価値を気付かせるというものがあった.また,料理名のネーミングコンセプトを抽出することで,食材単位だけでは表現できないような料理の特徴を提示するというものがあった.いずれもユーザ利用の観点からの有用性が明確でないという指摘があったが,アプローチとしては興味深く,今後の発展が期待できる.オブジェクト検索に関する発表としては,集合としての相性の良さを考慮した複合オブジェクト検索手法の提案があった.例えば,“金閣寺”,“龍安寺”,“南禅寺”という集合は,いずれも室町時代に建設されたという同一性を有している.一方で,“東寺”,“仁和寺”,“広隆寺”という集合は,それぞれ“明王像”,“如来像”,“菩薩像”に関連するというように相補性を有している.この研究では,集合の同一性および相補性を考慮したオブジェクト検索を目的としている.発表では,観光地を例として取り上げられていたが,小説や音楽CDなどにも適用できる汎用的な手法であると説明があった.会場からは,オブジェクトの属性値はどのように取得するのかについて質問があった.これに対しては,Wikipedia内のリンク語から取得するとの回答があった.また,観光地の場合,時間的制約や空間的制約が存在するが,それについてはどのように考えているか,という質問があった.これに対しては,制約内での推薦については既存研究で多くあるため,本研究では複合オブジェクトの関係性に焦点を当てているとの回答があった.発表者である佃洸摂さんは学生奨励賞を受賞した.また,プレゼンも分かりやすかったという声も多く,評価が高かった.

セッション3:ユーザインタフェース
 副座長:山本 岳洋(京都大学)
ユーザインタフェース(ロング発表2件、ショート発表1件)では、数式入力インタフェース、XMLを活用したウェブインタフェース自動生成フレームワーク、商品検索結果の絞り込み手法に関する3件の発表が行われた。1件目の発表では、土方委員長みずからによる、数式の予測に基づいた数式入力インタフェースの発表がおこなわれた。発表では、デモを交えながらの説明がなされ、システムとしての完成度の高さを伺わせた。会場からは、数式の予測に必要な学習データ量やその個人差に関する質問などがなされた。また、松下座長からも、数式入力時には数式を創出する段階と清書をする段階があり、それぞれ数式入力のユーザモデルが異なるのではないか、といった指摘がなされるなど、熱い議論が交わされた。2件目の発表では、XMLのスキーマ情報を利用することで、データの追加や削除、可視化といった機能を備えたウェブインタフェースを自動生成する仕組みについての発表がなされた。こちらもデモを交えながらの発表であり、本セッションではユーザインタフェースというセッションの特色がでていたように思う。3件目の発表では、商品検索において、属性による絞り込みを支援するための手法に関する提案がなされた。発表では、値段や性能といった属性中の属性値と関連する、商品に対するイメージを表現する単語をユーザに提示することで、絞り込みが支援できるのでは無いかというアイデアが提案された。会場からは、商品に対するイメージと属性値に対するイメージを正しく切り分ける手法が必要ではないかといった指摘や、花や絵本といった、単語で表現することが難しいイメージを持つ商品ドメインには適用可能なのか、といった質問がなされ、活発な議論が行われた。

セッション4:分析と評価
 副座長:井口 誠(Kii 株式会社)
セッション4:分析と評価(発表件数:4本)では、サービス/アプリ機能の特異性抽出分析手法、ツイートにおける顔文字に着目した感情値抽出手法、オンライン議論における参加者の役割に着目した議論の妥当性評価手法、従来型プレゼン手法の問題分析から導き出されたプレゼン用ビジュアルエイドシステムに関する発表があった。サービス/アプリ機能の特異点抽出の発表では、抽出した機能特異点を元にユーザに対するAndroidアプリ提示を行った結果、新たなアプリに対する気づきが著しく向上したとの報告があった。プレゼン用ビジュアルエイドシステムの発表は、「プレゼン資料を配布するならそもそも人前で喋る意味は無い」、「スライドを使ったプレゼンがそもそも有効なプレゼン手段なのか改めて考え直す必要がある」といった意見が飛び出す内容であり、質疑応答においても「プレゼンとはそもそも何ぞや」という根本的な部分に踏み込んだ議論が行われる白熱したセッションになった。

セッション5:コミック工学
 副座長:鍜治 伸裕(東京大学)
セッション5 (コミック工学)では,電子コミックと情報工学の融合を模索する試みについて発表が行われた(ロング発表1件,ショート発表2件).ロング発表では,コミック工学に対する潜在的ニーズや技術課題などに関する発表が行われた.一方,ショート発表では,コミックのコマに感性情報を付与して共有するシステムの発表や,コミックデータを管理するためのデータフォーマットの提案が行われた.質疑応答では,著作権に関する問題や,プロ(作者など)にとっても有益な技術を提供できるのかなど活発な議論が行われ,聴衆の興味の高さをうかがうことができた.また,本セッションは,発表者がスライド内にコミック画像を多用していることに配慮し,ウェブでは音声のみ配信を行ったが,この点についても今後議論をしていくべきであろう.

セッション6:言語と動作モデル
 副座長:大塚 真吾(神奈川工科大学)
セッション6(ロング発表1件, ショート発表1件)では、動画中の動作に関する言語生成モデルと漫才台本の自動生成に関する発表があった。前者の発表では、大量の動画像に対して、その内容を効率良く把握するために、人物の動作を自動的に文字で表現する手法の提案があり、Kinectを用いて人物の動きを抽出した時系列データの処理方法や、処理した時系列データへ動作表現ラベル付け手法などの説明が行われた。会場からは、時系列データの処理方法の問題点や、動作の区切りに関する質問など、活発な議論が行われた。後者の発表では、ロボット同士の漫才において、ノリツッコミを行う台本の自動生成方法に関する提案があり、Web上のニュース記事やWikipedia、検索結果などを用いて、基本ボケとノリツッコミを生成する手法などの説明が行われた。会場からは、ロボット同士が漫才をする意味付けや、ノリツッコミをするときに行う読み間違えのバリエーションに関する質問など、活発な議論が行われた。

運営委員会

実行統括担当:笹嶋 宗彦(大阪大学)
プログラム担当:奥 健太 (立命館大学)
受付担当:北山 大輔 (工学院大学)
ローカル担当:土方 嘉徳 (大阪大学)
特別企画担当:杉原 太郎(岡山大学)
映像配信担当:山本 岳洋(京都大学)
会計担当:井口 誠 (KII)

新着情報