第4回WI2研究会開催報告

2014年5月24日(土)・25日(日)に,島根県隠岐郡海士町(あまちょう)にて第4回WI2研究会を開催致しました.一般発表は,ロング発表・ショート発表合わせて19件の発表がありました.

内容は,情報構造化・情報検索,SNS,エンタテイメントと創造支援,意志決定支援などでした.招待講演は,魅力のある島づくりに関する内容で,海士町関係者にご講演いただきました.1日目は学会終了後,懇親会への送迎までの時間を使って,ショートエクスカーションを行いました.その後の懇親会は,海辺のバーベキューテラスにて,地元の魚介類や隠岐牛を使って,バーベキューを行いました.

→プログラム →特別講演 →表彰 →副座長報告 →学生参加報告 →運営委員会

日時・会場

日時: 2014年5月24日(土)14:15~16:00
2014年5月25日(土)8:30~19:00
会場: 隠岐開発総合センター 島民ホール<関内>
〒684-0403 島根県隠岐郡海士町大字海士1490

アルバム


開会の挨拶です

会場の様子です

一般発表の様子です

一般発表の様子です

磯谷 奈緒子氏の招待講演です

大辻 雄介氏の招待講演です

石坂達氏の招待講演です

一般講演の発表です

バスでショートエクスカーションです

バスガイド付きでした

隠岐神社へ参拝

参加者全員で記念撮影

BBQの食材です

盛り上がる懇親会

ついに踊りまで!

帰りのフェリー

プログラム

■5月24日(土)(13:45~受付)
14:15-14:30 開会の挨拶
10:30-11:50 セッション1:社会の課題解決におけるWeb技術利用
座長:大向一輝(国立情報学研究所) 副座長:齋藤ひとみ(愛知教育大学)

(ロング発表)
1.慢性疼痛患者の行動変容に向けたCaptologyにおける諸原理の応用可能性の
  検討
  三宅貫太郎・福森聡・杉原太郎・五福明夫・佐藤健治(岡山大学)
(ショート発表)
2.Webを利用した障がい児・者の支援システムの開発
  多々納俊治・横田光弘・縄手雅彦(島根大学)
3.情緒計算式による旅行者の感情推定結果にもとづくひろしま観光情報推薦
  システム
  橘一聖・市村匠(県立広島大学)
4.M2M通信を利用した地域情報収集システムの検討
  石田和成(広島工業大学)

16:30-18:30 海士町内のショートエクスカーション(希望者のみ)
19:00-21:00 懇親会
■5月25日(日) (8:00~受付)
8:30-9:50 セッション2:情報構造化
座長:難波英嗣(広島市立大学) 副座長:坂本比呂志(九州工業大学)
(ロング発表)
5.オントロジーを利用したWeb画像サイトからの階層的画像データセット生成
  藤本椋也(中部大学), 山西良典(立命館大学), 岩堀祐之・年岡晃一(中部
  大学),福本淳一(立命館大学)
6.単語共起関係と共著関係を利用した論文探索システムの提案
  風間一洋・石橋和樹(和歌山大学),篠田孝祐・栗原聡(電気通信大学)
(ショート発表)
7.HistoryPaper:ユーザー個人のブラウザ履歴を用いた毎日の可視化
  松枝知香・伊藤貴之(お茶の水女子大学)
9:50-10:10 休憩
10:10-11:20 セッション3:マイクロブログ利活用
座長:松下光範(関西大学) 副座長:井口誠(KII)
(ロング発表)
8.顔文字の役割に着目したツイートの多次元感情抽出手法の提案
  山本湧輝(甲南大学)・熊本忠彦(千葉工業大学),灘本明代(甲南大学)
9.「人工知能」の表紙に関するツイートの分析・続報
  鳥海不二夫・榊剛史(東京大学),岡崎直観(東北大学)
(ショート発表)
10.スポーツのネタバレを防止するTwitterクライアントの開発と諸検討
  中村聡史・川連一将(明治大学)
11:20-11:30 休憩
11:30-12:30 招待講演:離島におけるITの活用事例
司会:岡本真(アカデミック・リソース・ガイド株式会社)
講演者:磯谷奈緒子氏(海士町中央図書館),大辻雄介氏(隠岐國学習センター),石坂達氏(株式会社巡の環)
12:30-13:45 昼休憩
13:45-15:15 セッション4:ソーシャルネットワーク分析
座長:土方嘉徳(大阪大学) 副座長:難波英嗣(広島市立大学)
(ロング発表)
11.地域ブログサイト全量解析によるLocal Expertユーザのランキング手法
  三浦惇貴・廣田雅春(静岡大学),野澤浩樹(株式会社シーポイント),
  横山昌平(静岡大学)
12.アンケート調査に基づくツイート印象の分析
  熊本忠彦(千葉工業大学)
13.ソーシャル・ネットワーク分析からのTVドラマ評価へのヒット現象の数理
  モデルの応用
  北尾明子・石井晃(鳥取大),薄井司(エムデータ),内山幸樹(ホットリンク)
15:15-15:30 休憩
15:30-17:00 セッション5:エンターテイメントと創造支援
座長:杉原太郎(岡山大学) 副座長:大向一輝(国立情報学研究所)
(ロング発表)
14.つかみ・本ネタ・オチから構成される漫才ロボット台本自動生成手法の
  提案
  真下遼・梅谷智弘・北村達也・灘本明代(甲南大学)
15.ゲーム専用ブラウザのためのフレームワークの開発
  井上寛生(神奈川工科大学,Project L.C.), 速水治夫(神奈川工科大学)
16.競技プログラミング技能向上をめざすオンラインジャッジシステム
  猪狩知也・速水治夫(神奈川工科大学)
17:00-17:15 休憩
17:15-18:45 セッション6:意志決定支援
座長:熊本忠彦(千葉工業大学) 副座長:大塚真吾(神奈川工科大学)
(ロング発表)
17.災害情報を対象とした意思決定支援システムの検討: 複数人による協調的
  情報トリアージを目指して
  杉原健一郎・石野航平・松下光範(関西大学)
18.オンラインショッピングにおける内省行為に着目した贈り物選定の支援
  空中海人・上間大生・松下光範(関西大学)
19.意思決定を要する会議における貢献度推定技術
  片岡泰之(日本電信電話株式会社),Ayesha Shahzad(The University of
  British Columbia),山田智広(日本電信電話株式会社)
18:45-19:00 表彰式・クロージング

特別企画(招待講演):「離島におけるITの活用事例」

司会: 岡本真(アカデミック・リソース・ガイド株式会社)
講演者: 磯谷奈緒子氏(海士町中央図書館),大辻雄介氏(隠岐國学習センター),石坂達氏(株式会社巡の環)
講演概要: 離島,海士町において,IT技術がどのように使われているのかの事例をご紹介します.

表彰

WI2研究会では,出席したWI2委員全員により,全ての発表の聴講と評価を行っております.今回,各賞を受賞された研究は以下のようになります.

優秀研究賞
「人工知能」の表紙に関するツイートの分析・続報
 鳥海不二夫・榊剛史(東京大学),岡崎直観(東北大学)

萌芽研究賞
スポーツのネタバレを防止するTwitterクライアントの開発と諸検討
 中村聡史・川連一将(明治大学)

学生奨励賞
オントロジーを利用したWeb画像サイトからの階層的画像データセット生成
 藤本椋也(中部大学)

副座長報告

セッション1:社会の課題解決におけるWeb技術利用
 副座長:齋藤ひとみ(愛知教育大学)
セッション1(ロング発表1件,ショート発表2件)では,社会の課題解決におけるWeb技術に関する発表があった.1件目の発表は,慢性疼痛患者に疼痛を改善するためのリハビリを 継続的に続けさせるための支援に関する研究であり,Captologyの諸原理を応用したシステムの開発と評価について報告された.質疑では,実験者効果についての質問や,Captologyの諸原理から,今回の支援で使用した3つを選択した理由に関する質問,リハビリをやり過ぎてしまうことに対する質問があった.2件目の発表は,Webを利用した障がい児・者の支援システムの開発に関する研究であり,言語障害を抱えている障がい児・者に対するコミュニケーションの支援を目指した研究プロポーザルとしての報告であった.質疑では,研究方法について障がい児・者を対象とした場合,大量のデータの収集が課題であるといった指摘や,まずは事例ベースで分析したらどうかといったコメントがあった.3件目の発表は,観光情報推薦システムに関する研究であり,twitterのつぶやきから感情値を計算して,旅行者の感情にフィットする情報推薦の手法について報告された.質疑では,twitterのつぶやきは文章量が少ないため,どこまできめ細かな感情推定が可能なのかといった質問がよせられた.

セッション2:情報構造化
 副座長:坂本比呂志(九州工業大学)
セッション2(発表件数:3)では、2件のロング発表と1件のショート発表があった。1件目の発表は、オントロジーを利用したWeb画像サイトからの階層的画像データセットを自動的に生成するための手法であった。会場からは、一つの画像に複数のオブジェクトがあった場合にどうするかという質問があったが、確率の高い方を採用するまたは両方のタグを付けることが望ましいという答えであった。また、dbpediaではなくwikipediaの方がより深いレベルまで対応できるのではないかというコメントがあった。本研究は、学生奨励賞を受賞した。2件目は、単語共起関係と共著関係を利用した論文探索システムの提案についてであった。会場からは、著者名を確実に名寄せする必要があるとの指摘があったが、そのための前処理を今後検討するという回答であった。また、今回の新規性が不明であるとの質問があったが、今回の提案は、関連研究をうまく組み合わせることが主目的であるとの回答であった。3件目は、ユーザー個人のブラウザ履歴の可視化についての提案であった。自分の興味の移り変わりを理解できる新聞のようなレイアウトを目標にしている。会場からは、1年あるいは1ヶ月といったまとまった期間をアブストラクトする機能があると利用価値が高まるのではないかというコメントがあった。また、他手法との比較が難しいので、システムを実装したあとに実際に使った結果を分析するとよいとのコメントもあった。レイアウト問題はよく研究されているので、例えばナップサック問題を参考にするとよいとのコメントもあった。

セッション3:マイクロブログ利活用
 副座長:井口誠(KII)
セッション3(発表件数:3)では、2件のロング発表と1件のショート発表があった。
1件目の発表では、ツイートにおける顔文字の役割を考慮した感情値抽出手法が紹介された。会場からは、ツイート者のコンテキストや心情、クセなどを考慮した分析を行うと研究の新規性が増すのではないか等、今後の研究の方向性を示唆するコメントが多数寄せられた。2件目は、人工知能学会誌の「女性形アンドロイド表紙問題」に係るツイートの分析に関する発表であり、同じネタであっても表層的な議論やTogetterまとめ起因の議論を行うクラスタと、深い議論や表紙ネタで盛り上がるクラスタとでは、ツイートの拡散性や持続性に大きな違いがあることが報告された。会場からは、今回の知見をベースにツイッター上での炎上リスクの予測や「祭り」に参加する人の行動心理の把握につながるのではないか等、数多くのコメントが寄せられた(本発表は今回「優秀研究賞」を受賞している)。3件目は、ツイートによる「ネタバレ」を防止するTwitterクライアントの開発に関する発表であり、Janetterのプラグインとして実装されたプロトタイプが紹介された。質疑応答では、非表示にする情報の度合い(全て隠す vs. 一部隠す)に関する議論や、ツイート内の顔文字によるネタバレの可能性に関する考察、さらには非表示にするのではなく情報開示のタイミングをズラす手法の提案など、情報隠匿の方法に関する議論が活発に行われた(本発表は今回「萌芽研究賞」を受賞している)。

セッション4:ソーシャルネットワーク分析
 副座長:難波英嗣(広島市立大学)
セッション4(ロング発表3件)では、SNSデータを情報源として、そこから有益な情報を抽出する発表が2件と、代表的なSNSのひとつであるTwitterに関するアンケート調査の分析結果の報告が1件あった。本セッション1件目の発表では、ある施設に関してブログ中で詳しく述べているブログ著者をLocal Expertと定義し、このような著者を見つける手法を提案した。これについて、会場からブログ著者がスパム的な記事を書いた場合に、Local Expertのランキングへの影響が大きいのでは?という質問があり、ひとつの施設に対してやたら投稿している人を見つけ、除外するといった方法が考えられる、という回答があった。2件目の発表では、Twitterを対象に、他の人のTweetを見た時に受ける印象について10,000人のアンケート調査を行った結果について報告があった。この印象調査では、例えば、「Twitterのメリット・デメリット」や「Twitterを利用している理由」などの設問に対する回答を、アンケート回答者の年齢、性別、利用の度合い(ヘビーユーザ/ライトユーザ/潜在的ユーザ/非ユーザ)などを考慮して分析した。会場からは、発表者が、以前、新聞記事を対象に行っていた同様の調査と比べ、どう違うのか、という質問があり、新聞は印象軸が6軸に分けることができたが、Twitterではそこまで明確には分けられないという回答があった。3件目の発表では、テレビ番組などの話題性・人気度を定量的に測るための数理モデルを提案し、Twitterやブログを情報源として利用した本モデルが、TV露出時間(視聴者がいつどのくらい番組を視聴したのか)を近似できることを示した。会場からは、Twitterとブログの違いに関する質問があり、これに対し、例えばNHKスペシャル「神の数式」のように専門性の高い番組では、ブログでは割りと長く書く人がいる一方で、Twitterではあっという間に減衰するといった違いがある、という回答があった。

セッション5:エンタテイメントと創造支援
 副座長:大向一輝(国立情報学研究所)
セッション5(発表件数:3)では、エンタテイメントと創造支援に関する3件のロング発表があった。1件目はロボット2体による漫才の台本を自動生成することを目的として、ニュース記事から言葉遊びボケ、対立ボケ、ノリツッコミといった漫才特有のコミュニケーション形式を表現するためのテキストマイニング手法の提案がなされた。会場からは漫才の面白さの定義に関する質問や、研究目的としてロボットの自律的な掛け合いを目指すのか漫才台本としての質を向上するのかを明確にすべきではないかといったコメントがあった。2件目はウェブブラウザで動作するソーシャルゲームに特化した専用ブラウザの開発を支援するためにプラグインアーキテクチャを持つ汎用のフレームワークを構築し、「艦隊これくしょん」に適用した事例の報告があった。会場からは、汎用性を必要とする理由やプラグインの継承関係の有無に関する質問がなされた。3件目は競技プログラミングのための学習支援として自動テスト機能を持つオンラインジャッジシステムの構築と評価実験についての発表である。会場からは長期に渡る検証のために提案手法そのものの効果が判断できないという指摘や、中級者以上に対しては異なる支援が必要とのコメントがあった。3件の発表ともに対象問題の新規性が高く、WI2研究会の多様性を改めて示すセッションとなった。

セッション6:意志決定支援
 副座長:大塚 真吾(神奈川工科大学)
セッション6(ロング発表3件)では、災害時における意思決定システムやオンラインショッピングにおける購買支援、および、会議における貢献度推定に関する発表があった。1つ目の発表では、まず、協調的情報トリアージの説明と膨大で複雑な情報の分別に関する問題点などについての説明があり、その後、システムや実証実験の説明があった。質疑では、災害時に道が使えない場合の解決策や、情報を識別するためにカード状のものを色分けをした効果についてなど、活発な議論がなされた。2つ目の発表では、気持ちのこもった贈り物を探していくプロセスを支援するシステムの説明があった。質疑では、カテゴリーとジャンル以外にも推薦した方が良いという意見、究極な商品が見つかると全て同じプレゼントになってしまうといった意見、イメージをイメージを重ねすぎるとニッチか当たり前ものになる傾向になるなどの意見があり、活発な議論が行われた。3つ目の発表では、意思決定を要する会議におけるファシリテーションの自動化に関する発表があり、行動のデータ化や貢献度の推定方法、会議支援システムの構築とその評価に関する説明があった。質疑では、システム利用者の適切な人数など評価方法に関する議論や会議の特性に関する議論、ファシリテーションの自動化の必要性に関する議論など、活発な議論が行われた。

運営委員会

実行統括担当:杉原 太郎(岡山大学)
プログラム担当:坂本 比呂志 (九州工業大学)
受付担当:熊本 忠彦 (千葉工業大学)
ローカル担当:難波 英嗣 (広島市立大学)
特別企画担当:岡本 真(ARG),杉原 太郎(岡山大学)
映像配信担当:大向 一輝(国立情報学研究所)

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